2013年1月10日木曜日

つづきです



文中に誤りがありますね。
沖縄県民は日本人ですよ。
言語的にも遺伝的にも習俗でもね。
神道も共通しています。
古い神道がほぼ純粋に残っていますからね。
比べるなら台湾と比べないとね。


【日韓インタビュー】第8回~
 「竹島(独島)問題」「歴史認識問題」をどう考えるか?

(聞き手・武田肇)

●ソウルの民間会社に勤務する韓国人男性、Sさん(47)【後編】

=【前編】からの続きです。ツイッターを通じて知り合った韓国人男性Sさんは、サラリーマンをしながら「趣味で韓日関係を研究しているアマチュア(研究家)」(本人談)です。後編では「竹島(独島)問題」が話題の中心。日韓関係の未来を築くヒントはあるでしょうか?取材は韓国大統領選投票日前の12月中旬、ソウル市庁近くの喫茶店。※【訂正】Sさんの年齢 49歳→47歳

--今夏の李明博大統領の竹島(独島)上陸、天皇謝罪発言は日韓関係を冷却させました。いったい何を考えているのだろうと言う人もいます。

 天皇陛下(※1)に謝罪を求める発言は、李明博大統領が歴代大統領の中で「最も日本文化への理解がない大統領」という不幸から起きた問題と思います。「反日」というキーワードから読み解くのは誤りです。李大統領は大阪生まれ(※2)ですが、敗戦とともに4歳で韓国に家族と引き揚げました。

 李大統領は日本よりも「現代建設」時代(※3)に中東でビジネスを手がけた縁で、中東、アフリカ、東南アジア(インドネシアなど)といったイスラム圏、イスラム文化に理解が深い大統領なのです。ユドヨノ・インドネシア大統領らと非常に親しいことはよく知られています。でも、日本文化には理解がありません。たぶん関心もないと思います。

 韓国の民主化以降の大統領を見てみましょう。金泳三大統領は「考えなしに言葉を出す人」であったけれど、絶対に天皇陛下を非難することはありませんでした。日本社会の位置づけを念頭に、天皇陛下には絶対触れてはいけないと知っていたのです。

 金大中大統領は日本時代に教育を受け、民主化運動でも日本を拠点とし、日本文化に造詣が深かったことは言うまでもありません。天皇陛下にも敬意を払っていました(※4)。

 盧武鉉大統領は、「日本と外交戦争を辞さない」と発言したこともありますが、日本に友だちがいました。口にしなかっただけで。

 皮肉なことですが、大阪生まれで、韓国の若者らにSNSなどで「オオサカリー」(大阪+李)と悪口を書かれている李大統領が、最も日本について無知なのです。

 おそらく李大統領が天皇陛下に言及したのは、なんの考えなしの無意識だったと思います。李大統領はもともと失言をよくやる人です。彼にとっては数ある失言の一つに過ぎなかったでしょう。

 もし大統領の実兄の李相得議員(※5)が逮捕されていなければ、こんなことにはならなかったでしょう。李相得議員が大統領のそばにいたならば、独島にも絶対行かせなかったはずです。拘置所にいたので、止めるに止めようがなかったのでしょう。そうした事情も独島訪問(竹島上陸)に影響したと思います。

(※1)天皇の呼称=韓国マスコミは天皇を「日王」と呼ぶことが多いが、Sさんはインタビュー中、終始「天皇陛下」の呼称を使った

(※2)李明博大統領は1941年、大阪市平野区生まれ

(※3)李明博大統領は高麗大学卒業後、当時社員が100人に満たなかった現代建設に入社。36歳で社長、47歳に会長に、16万人の韓国有数の大企業に育て上げた。「サラリーマン神話」と言われたが、今は見る影も・・・

(※4)金大中大統領は、1998年の日本公式訪問に先立ち、韓国政府として天皇を表す「日王」の呼称を取り止め、「天皇」を使用することを宣言した

(※5)李相得議員=李明博大統領の実兄の国会議員。大阪生まれで、10歳まで日本で過ごし、流暢な日本語を話す。韓日議員連盟会長を務めるなど「知日派」として知られたが2011年7月、金融機関などから巨額の違法資金を受け取ったとして斡旋収賄などの疑いで検察に逮捕された

--失礼ですが、日本語もできなくて、日本にも行ったことがないのに、日本社会にかなり詳しいですね。ふだん新聞は何を読まれていますか。

 朝日新聞記者の前で失礼ですが、毎朝、韓国の新聞を読んだあと、産経新聞を読みます。時間があれば、朝日新聞と2ちゃんねるにも目を通します。

 産経新聞は韓国人の情緒にあっている新聞だと私は思います。産経新聞には黒田支局長(※黒田勝弘・ソウル駐在特別記者)がいらっしゃいますよね。お話ししたことはありませんが、すれ違ったことは何度かあります。産経新聞ソウル支局が入っているビルを、うちの会社が管理しているので(笑)

 その黒田さんの記事を韓国人が初めて読めば反発しますが、しかし、読み続ければ、黒田記者ほど韓国社会について理解が深い記者はいないとわかります。韓国人ファンは少なくないと聞いています。

--たまに韓国紙に「黒田支局長、また妄言」みたいな記事が載りますよね?「妄言製造機」なんて失礼なことを書くメディアも。支局長から駐在特別記者の肩書に変わっても「支局長」と書き続けるのもなんだかおかしいですが。

 先に申し上げたように、韓国のメディアは競争がめちゃくちゃ激しいのです。ネットに出た記事のクリック数や書き込みの数まで重要とされます。

 そんな中、韓国の記者は黒田記者を「利用」しているのです。黒田記者はネチズンに人気がある有名人だから、黒田記者に関する記事を書くとクリック数がぐっと上がるのですよ。でも、見出しは刺激的でセンセーショナルなのに、読んでみたらたいした内容でないという記事ばかりですよ。それだけのことです。

 日本人が韓国メディアを通して韓国社会を見れば、黒田記者はいつテロに遭ってもおかしくないと思うのではないでしょうか。実際は全然そんなことないです。ありえません。黒田さんの記事に怒る人もいるかもしれませんが、多くは「日本には日本の立場があるから」とか「日本人の立場ならそう考えるだろうな」と受け止めます。

 産経のホームページは韓国のユーザーに見やすい、というのも韓国で影響力が大きい理由かもしれません。朝日新聞も、まあまあ良いと思います。

(※朝日新聞は有料記事が多くて「不便」という声は韓国でよく聞きます。経営戦略の違いですが・・・。ちなみに朝日新聞は、主要記事を翻訳した「韓国語版」を無料で出しています)

--ならば、韓国社会で朝日新聞の役割はありますか?

 中国では尖閣問題をきっかけに反日暴動が起き、日本人が暴行を受けましたよね。韓国では絶対にああいうことは起きません。1945年以降、中国の反日デモのような事態が起きたことはないし、大規模な反日集会もありませんでした。日系の商店を壊したり日本製品を焼いたりということも、ごく一部のパフォーマンスを除けば、ありませんでした。そして、これからも起こらないでしょう。私は、その理由について、かなりの部分、朝日新聞のようなメディアのおかげと思っています。

 韓国人は、日本との間でいろんなことがあって感情が高ぶっても、「それでも購読数が多い朝日新聞でこんなふうに良心的に報道しているから、日本はまだ大丈夫だ」「日本にも、朝日新聞を読むような良心的な人がたくさんいる」と思って過ごしてきたのです。韓国にある「反日」が暴力にまで発展しなかった理由は、そこにあると考えています。朝日の役割は大きいのです。

--そんな効用が? ところで、日韓の歴史問題がなかなか落ち着きません。日本政府は植民地支配の問題についてもう一度謝罪すべきでしょうか。

 私はその問題は1965年の韓日協定(※)で国際法的に解決されたと思っています。いくつかの市民団体が日本政府や韓国政府を相手に訴訟を起こしていますが、私は韓日協定で解決したと考えています。

(※)1965年の韓日協定=65年6月、日本と韓国が国交を正常化させる一環として佐藤栄作政権と朴正熙政権下で締結された「日韓基本条約・請求権及び経済協力協定」。日韓関係を考えるうえで重要なポイントであり、先輩記者が書いた用語解説を参考に掲載します。

<請求権・経済協力協定> 協定で日本は韓国に3億ドルを無償で供与し、2億ドルの貸し付けを約束した。いずれも10年間、日本の生産物や日本人の役務を提供するもので、浦項製鉄(現在のPOSCO)やソウルと釜山を結ぶ高速道路、昭陽江ダム建設などに使われた。
  日韓間の財産、権利などの請求権については「完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と記した。日本の植民地支配下での徴用や徴兵などの個人補償は、韓国側に任せ、経済協力の形で「清算」に代えた。このため、当時念頭に置かれていなかった日本軍慰安婦などへの補償・支援が後日、大きな問題になった。
  朴正熙政権は70年代に入り、対日民間請求権補償に関する国内法をつくった。強制動員で死亡した約8500人の遺族に30万ウォンずつ支払うなどしたが、被害者のごく一部だった。歴史の見直しを掲げた盧武鉉政権は、日本による強制動員の調査を進め、07年には、死者に2000万ウォン(約230万円)などを支給する法律が成立した。
  =朝日新聞2008年2月25日朝刊 特集面(歴史は生きている 第9章 日韓国交正常化:上)より 一部略

--その韓日協定について、韓国の若い世代はよく知らないのではないでしょうか。日本は戦後、植民地支配の問題に対し何もしてないと思っている若者もいます。

 韓国の学生たちは、現代史(解放後の歴史)をあまり学校で習わないのです。高校3年は受験で忙しいので(※)。まともに知らない状態で接するのが、ネットなど事実が正確でない媒体が多いようです。しかし、そういう若い世代も、年を重ねれば視野が広くなり、考えが変わってくると思います。

 最近、韓国の若者は、日本の若者に似てきたと言われます。学校とかアルバイトとか、自分の狭い世界から出ず、関心は「何を買うか」だけというふうに。だから、日本に関心のない若者も増えてきました。トヨタ、ユニクロが日本製とわからない若者までいると聞きます。その意味での反日感情も変化しているのではないでしょうか。

(※)この点について、現役大学生で、今回、私の取材テープを聴きながら翻訳を手伝ってくれたC君は「韓日協定は学校で習ったような気がします」と言いました。ただ、詳細までは教わった記憶はなく、「あまり印象は残らなかった」とのこと。学校や先生の個性によって教え方に差がありそうです。ちなみにC君は韓日協定は知っているものの「日本の植民地支配の謝罪と補償は不十分だ」という考えだそうです。

--さて竹島(独島)問題について、です。率直にどうお考えですか。

 私の考えはさておき、韓国人は独島を「韓国独立の象徴」と考えているので、韓国政府が独島問題(竹島問題)で妥協するのは非常に難しいということは間違いありません。

 日本人は国際司法裁判所に提訴すれば、日本が勝つと思っているようですが、私は国際法の面から、韓国が勝つ可能性だって十分あり得ると思います。

 日本はサンフランシスコ講和条約で、竹島は島根県に帰属すると認められた主張していますが、国際法の考え方に照らせば、50年以上の間、独島を支配し、ヘリポートや宿舎など多額の建設投資をし、住民も住んでいるという韓国の立場は、決して不利とは言えないと思います。

 日本政府は毎年、書簡(※口上書)を送って、竹島は日本領と主張してきたと言いますが、私が知る限り、それは1993年以降のことではないでしょうか(※注意・筆者未確認) 1951年、韓国政府の李承晩ラインによって竹島は独島となり(※韓国が支配し)、それ以後、日本が談判して抗議(※当局者に対面して抗議)は数回もないと思います。これは国際法的に不利に作用するのではないでしょうか。「外務省が毎年定期的に抗議してきました」というだけでは日本の財産という保障を国際法的に得るのに、なかなか難しいのではないかと思います。将来、韓国政府が国際司法裁判所への共同提訴を受け入れることはあると思います。アマチュア(研究家)の見解ですが。

 もし、独島(竹島)が日本領と認められた場合について考えてみましょう。私は、韓国政府は、それこそ崩壊するかもしれないと思います。尖閣諸島に香港や台湾の活動家たちが小船で向かい、上陸しましたよね?私が思うに、もし独島が日本領になれば、鬱陵島から数万人の韓国人が独島に向かうことになると思います。韓国にあるありったけの船舶を動員して。世界史上かつてなかった光景を作ることになると思います。

 私は韓国人を卑下するわけではありませんが、こと独島については、韓国人は相当しぶとい、笑い事みたいに言えば「ゾンビ」みたいな性向を持っています。

 それでも日本の領土として確保したいのであれば、日本政府は、米国がイラクやアフガニスタンに駐屯する以上に辛くなると思います。私は韓日関係を考えるアマチュア(研究家)に過ぎませんが、これまでの経験を総合して言うならば、毎日毎日、数万人の韓国人が独島(竹島)に向かうことに耐えられる海上警備を日本は強いられると思います。相当なコストです。数百隻の海上保安庁の船舶を駐在させても、韓国人の上陸を阻止するのは困難かも知れません。おそらく、鬱陵島から水泳をして独島に向かう韓国人も数千人にもなるでしょう。もしそうなったら死者が必ず出ます。もし海上保安庁の船とボートが接触して沈んだら、本当に深刻な事態になります。

 以上はアマチュア(研究家)の私の見方ですが、日本政府もおそらくこのような展開になることを十分考えていると思います。

--そうですか・・・(絶句)。ところで、自民党が圧勝した日本の総選挙の結果についてはどのように見ていますか。韓国メディアは一斉に、極右・安部政権成立と報じ、大騒ぎですが。

 個人的な経験を話したいのですが、私は1985~86年ごろ、韓国原子力研究院でアルバイトをしていたとき、外国の原子力発電所の事例を研究してパンフレットを作ったのです。最近、日本の新聞記者が韓国の原発取材に来て、どこかで受け取ったパンフレットが80年代半ばの製作で呆れたとか書いていたのですが、それはおそらく、私が作ったパンフレットです。たぶん担当者は、面倒くさいと思って、30年近く同じパンフを使い続けてきたのでしょうね。

 韓国メディアの日本政治の報道も、これと同じことが言えると思うのです。はるか過去に作った枠組みを、単純に当てはめ続けているだけの惰性的な報道です。正直言って、私のようなアマチュアの方がちゃんと見えていると思う時さえあります。

 一般論ですが、韓国メディアの日本担当というのは、専門性が非常に乏しいと思います。韓国では国際部より、政治部、経済部の方が格上とされていることが背景にあり、日本特派員になるのは、全然日本と縁のなかった記者が多いと聞きます。勉強する時間もないまま。そういう記者が、日本に特派員として来てどうするか。先輩が書いた記事をデータベースで探し出し、それを基に記事を書くことになります。日本の政権が変わるごとに出てくる記事を比較すると、「ほぼ同じ書きぶり」ということがあるんです。誰々が親韓派だとか、「文字一つ同じ」みたいな記事もあるくらいです(笑)

 アマチュアの私から見ても、いったい日本の国会議員の中に「親韓派」なんてあるのかと思うのですよ。日本は選挙が機能している国です。政治家はまず、自国民のため、選挙区民のために働きます。日本の利益よりも韓国の利益を優先する「親韓派」がいる、なんて、小説のような話だと思います。でも、そんな記事が出るのです。

 今回の総選挙に関連して、安倍晋三・自民党総裁の昭恵夫人が「韓流ファン」だという記事が各紙に出ました。安倍氏は極右政治家だが、妻の昭恵さんは韓流ファンだから少し希望がある式の報道です。

 しかし、昭恵さんが韓流ファンだとして、それによって日本の対韓国政策が変わるでしょうか? 日本が王政国家であれば、ありえるでしょう。しかし、実際の日本の政治は、さまざまな手続きと制度の中で動いています。なのに安倍氏の話が出ると、昭恵夫人の話になり、韓流ファンで、どのファンクラブに加入し、とかいう記事が延々と続く。笑ってしまいます。 私は、特派員がアルバイト生らに面白いネタを見つけさせて、それに適当に手を入れて記事をあげているのでは?と思うことさえあります。そうやって捻出した時間を、酒を飲んだり、人と会う、と称する遊びに使っているのではと。だから、私が韓国メディアの日本に関する記事を読むと、千篇一律的というか、同じすぎると感じます。

 ただ、失礼ながら、韓国に関する日本メディアの記事を見ても、同じようだと感じることがあります。その点も、韓国と日本は似ている(笑)。私が産経の黒田記者を好きな理由は、ここにもあります。黒田記者は、韓国社会の基礎にある考え方をつかもうとする姿勢があるが、ほかの特派員はほぼ大同小異なんですよ。黒田さんは30年以上、韓国で特派員をやっていて、おそらく死ぬまで韓国におられるつもりでしょうから、自分の書く韓国の記事に、付加価値を高めようとしているように見えます。ほかの特派員は3年くらい勤務すると帰国ですから、韓国社会にあらわれる現象の奥にある心理、文化的なものが見えていない、あるいは見ようとしていない気がします(※)

(※)今回の企画は、とにかく相手のお話に耳を傾け、読者の皆さんに日韓関係を考える議論のたたき台として提示するという方針なので、論評はしません。ただ、骨身を削って仕事をされている先輩記者の皆さんの顔が浮かび、胸が痛みます・・・

 韓国人の日本特派員の任期も3年くらいなので、日本人の基礎にある考え方や「脈」を見ようとせず、単純に日本で出ている記事を集め、つまみ食いして記事を出している印象です。特派員は、韓国からやってくるVIPの接待役、ガイド役だと自任している記者さえいるような・・・

 私が読む限り、今回の総選挙に関する記事と、5年前に安倍氏が総理になったときの記事とは非常に似通っています。この間、安倍晋三という人物がどのように変わったのか、日本社会がどのように変化したのか、中国の浮上がこの地域にどんな変化をもたらしたか、といった部分に記者たちの関心はまるでないように見えます。私は、韓国人の特派員の中に、黒田記者のように日本に一生とどまって特派員をする気概のある記者が一人もいないのが残念です。

 日本に一度も行ったことがないアマチュアの私に批判されることに、日本特派員たちはムカッとくるでしょう。私は日本語もできません。仕事の合間に、翻訳機を回しながら記事を読み、タイムラインを追っているだけです。反面、仕事ではなく、「趣味」だからこそ、勤務時間に関係なく、とことんやります。

              ※
  私は、SNS、インターネットの発達によって韓日関係が大きく変わると考えているのです。別の言葉で言えば「反日感情」が薄まっていくというチャンスが来たと思っています。

 私たちはいま、やろうと思えば誰でも、新聞・テレビといった既存メディアを通さず、日本に関する情報を得ることができるようになりました。昔はメディアの特派員を通じてしか日本像を結べなかったけれど、いまは個人が、翻訳機能を使いながら、2ちゃんねるから個人のフェイスブック、旅行レビュー等々、あらゆる情報を得ることができます。その情報が積み重なれば、等身大の日本、客観的な日本が見えてくるのではないでしょうか。

 そうなれば、たとえ日本にいる特派員が安倍極右政権の誕生と紋切り型で伝えても、韓国のネチズン(ネットユーザー)は自分たちの持っている情報、経験に照らし、その見方が妥当であるか検証できます。日本特派員が強烈な反日記事を書いても今ほど影響は少なくなります。そうなると信じています・

--私はSNS時代になって、互いに背負っている価値観がぶつかりやすくなり、逆に既存の対立が深まるような気がします。「2ちゃんねる」も諸刃の剣では? Sさんのような理想を実現するためには、何が必要でしょうか

 たとえ話を。在日韓国人出身のプロ野球監督、金星根(キム・ソングン)氏(※)をご存じですか。彼は20歳そこそこで韓国に来て、いまは70歳になるのですが、インタビューを聞くと、いまだに日本式のアクセントが残っているのです。これはすごいことだと思います。半世紀を過ぎたのに、頑固に日本式のアクセントが残っている。これは何を意味するでしょうか。

 また、全世界で日本語能力のテストをすると、トップに来る国は必ず韓国です。日本語と韓国語は言語構造が似ているから、韓国人にとって日本語は非常に親しみやすいからです。しかし、日本語が一見ペラペラにしゃべれる人であっても、「ありがとうございます」という初歩のあいさつが、ほかの外国人よりも変なアクセントだということがある。なぜでしょうか。

 話の結論はこうです。日本語と韓国語、あまりにも言語構造が似ているゆえに、外国語と思って接するのではなく、自国語の一部、自国語の延長として接している人がかなり多いということです。韓国式日本語、日本式韓国語である程度通じてしまうから、ディテールはいつまでたっても改善されないのです。

 これは韓国人が日本人を、日本人が韓国人を見る態度にも言えることだと思います。お互い似すぎているから、つい自分の価値観のまま相手の言動を見てしまう。初めから外国人と思って接しないために、かえって先入観を持ったまま接してしまう。そこに落とし穴があります。大切なのは、先入観をいったん捨て、相手の思考方法を謙虚に知ることです。そのように意識しないと、いろんなものを見てかえって誤解、偏見が強まるばかりです。似ているけれど、細部は違うと意識することです。

 いくら日本のアニメ、漫画をたくさん見ても、自分式、自国式の価値観が変わらなければ、その作品の本当の理解はないと思います。政治、社会の見方もしかりです。意識して、自国の価値観で見ること、判断することをやめなければ、「理解」につながりません。

 お互いの歴史を学ぶ意味も、実はそこにあるはずです。韓国人とは何者か、日本人とは何者か、どんな価値観、思考方式を持っているか。それを知るためにも歴史、文化を学ぶことが不可欠なのです。

(※)金星根監督=1942年、京都生まれの在日韓国人2世。韓国のプロ野球6球団で監督を務めた。現在70歳。

--そうなんですか。お話を聞いていると、本を出されたらと思うほどです。

 買う人はいませんよ。最近はネットでいろいろな情報を公開している人もいますし。

 韓国には、私のようなアマチュア(研究家)、「おたく」がたくさんいるのですよ。「おたく」が多いのは韓国も日本も同じですね。法律家でもないのに国際法に詳しかったり、肉体労働をしながら、弁護士以上に訴訟に詳しかったり、そんなアマチュアが韓国にたくさんいます。私が知る限りでも、「韓日関係」のアマチュアの水準はかなりのものです。私よりも詳しい人もいますよ。私は対米関係にも関心を持っています。

--もう一つ気になることを伺いたいのですが、韓国の人びとにとって愛国、民族主義とは何でしょう。

 韓国人の私から見ても奇異に感じられる時があります。「ファッション」にたとえればわかりやすいかもしれません。ある人が黒のスーツを着るが流行だ、というと多くの人がまねて着る。でも、その人たちは特段ファッションについての知識があるわけでもなく、似合うかどうか考えるわけでもなく、ただ他の人が着ているから私も着ているだけ。

 ただ、朝鮮半島はロシア、中国、日本という大国に囲まれていて、「私たちで団結しないと」という思いは強いのだと思います。

               ※

 ただ、民族主義というのは、単純な問題でないと思います。日帝時代に、日本兵となった朝鮮人の手記を読んだことがあるのですが「私たち朝鮮人が、沖縄人よりも悪い待遇を受けている。我慢ならない」といった趣旨の記述があるのです。当時、沖縄県民には参政権がありましたが、朝鮮半島には参政権がないなど、格差がありました。そういったことが、我慢ならないという個人的心情を吐露しているのです。

 そういう視点で考えてみると、たとえば日中戦争に日本軍兵士として出兵した朝鮮人が逃亡し、朝鮮独立軍に入ったというケースについても、当然、朝鮮独立のために参加したと言われてきたけど、「沖縄よりも待遇が悪いこと」への屈辱感、不満のために独立軍に入った兵士もいたと考えられるのです。

 1943年に朝鮮総督府が朝鮮人の日本語能力を調査しているのですが、日本語に熟知しているというのは人口の18%でした。これに対して台湾は45%。台湾人よりも朝鮮人の方が日本語を習うのが簡単なはずなのに、なぜ?と思うのですが、とにかく18%でした。だからこそ、日本語がよくわからず、だまされ、慰安婦にされた女性が相次いだのだと思います。

 しかし、もし、1943年時点で、朝鮮人も台湾人と同様に50%近くが日本語を使え、かつ内地の人たちのように参政権があり、いろんな待遇が上がっていたとすれば・・・・私は、海外で亡命政府の独立運動や、ヤルタ・カイロ会談での朝鮮独立決議があったとしても、朝鮮は独立していなかったのではないか、と考えるのです。

 ほかの側面から考えましょう。1945年8月15日の日本敗戦時、多くの朝鮮人が街頭で万歳した、と言われ、私もそう思ってきたのですが、資料を調べるとそうでもないのですよ。当時の朝鮮の人たちは日本敗戦を、疑問に思い、いぶかしがったのです。「この後、いったんどんな世界が広がるのか?」と不安にかられた。それくらい、1945年時点で、朝鮮人に独立への期待感がなかった、といえます。

 アマチュアの私の考えですが、かりにあと5年、日本統治が続い
 ていたら、国際社会が朝鮮独立を認めたとしても、朝鮮は沖縄と同様に、自分の意思で日本に残ったと思うのです。これは私が自分の集めた資料で、個人的に出した結論です。

 だから今、沖縄の人たちが日本の内地の人から差別を受ける感情や鬱憤を、私は理解できます。沖縄に米軍基地があるのは地政学とか軍事的な問題でどうすることもできないにしても、それを日本政府によって押しつけられることを理性的に受け入れられず、風船をふくらませて空に揚げる行動の底にあるメンタリティーを、理解できる気がするのです。自分たちも沖縄の人たちと同じような状況になっていたとは限らない、と・・・

(※)朝鮮半島出身者の参政権=1943年時点で、朝鮮半島在住者には参政権がなかったが(日本人も含め)、内地=日本本土の在住の朝鮮半島出身者には参政権があり、朴春琴という在日朝鮮人の国会議員もいた)

--そのようなお考えを韓国人から伺うのは初めてで、びっくりしました。そのような発言をすると「親日派」(=売国奴の意味)と言われないでしょうか。

 もう、そういう時代ではないと思います。

--明日もお仕事なのに、遅くまでありがとうございました。本当に衝撃的な話ばかりでした。せっかくなので、日本にも一度来て頂きたいです。

 来年は日本に行こうかなあと思うのですが・・・。でも、翻訳機で旅行サイトを見たり、旅行記を読んでいたら、なんとなく、行った気になってしまうんですよ。だから、結局、いつまでたっても行かないんです。

        【日韓インタビュー】第八回(おわり)

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